2016.05.17
東北ピックアップ
【東北のお店 in九段下】岩手を中心とした直伝の郷土料理と珍しい日本酒が楽しめる「郷酒(ゴーシュ)」
東北のこだわりの食材を使った逸品が食べられる、東京の飲食店を紹介する連載。
今回は、岩手の食材を中心にした全国の郷土料理と日本酒が楽しめるお店、”郷酒(ゴーシュ)”を訪ねました!
九段下駅から歩いて2分くらい、階段を下った地下は、東京のオフィス街の中にあるとは思えない素敵な空間。店主の鈴木淳さん、女将のまみさん夫婦が営む、郷酒の店内は、おしゃれな明かりと宮沢賢治の絵本、ゴッホの絵画などが飾ります。
淳さんが宮沢賢治の世界のような店内を作り、まみさんは料理担当をしているそう。
お店の名前の由来は、宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」。
そのゴーシュと故郷の”郷”、日本酒の”酒”で郷酒(ごうしゅ)。簡単に言えばそうだと淳さんが教えてくださいました!(話すととっても長いそうなのですがいつか聞いてみたいっ)
郷酒では、日本酒に詳しい店主が厳選した、このお店でしか飲めない全国のお酒を40種類以上扱っています。
その中でも私たちが頼んだのは、まみさんの故郷のお酒。
まみさんの故郷、岩手県花巻の石鳥谷町は「南部杜氏」の里として栄えた町。
そんな町で唯一残っている酒蔵の”酔右衛門(よえもん)”も郷酒一押しのお酒。
無濾過生原酒「雄町」と岩手県のお米で作られた「吟ぎんが」。
一升瓶を目の前に出してくださるのも嬉しい。
郷酒オリジナルの器も香りが楽しめる形。
初めて知った銘柄だったのですが、、一口飲んで、うまっ!!美味しすぎました。(幸せ・・)
今日のお通しは、ヒラマサやイカ、マグロなどを使ったお刺身の、行者にんにく醤油和え。
「なんだ!このコリコリ感!」と感動していると、漁師さんが朝〆しているお魚を使っているからだよ!と優しく教えてくれました。美味しい。。
これは、山芋焼きふき味噌。
上にのっている、”ふき味噌”は、まみさんの実家のおばあちゃんがたんまり送ってきた”ふきのとう”を使い、
まみさんが、東京の人でも食べやすいように苦味を調整しながら、味噌で炊いてつくったもの。優しい苦味でとっても好きな味!!!!
「知っている人が採った、よーく知っている食材だから。」とおっしゃっていました。
季節ごとに届く、旬の食材を料理する。こんな風に、食材が届くと、無駄のないように、葉っぱ、茎、とそれぞれどのような料理を作るのか、考えるそう。
店員さんおすすめ、「土佐流かつおの叩き」。
その場で、女将さんが塩をふり、炙られた肉厚生カツオ。
自家製ポン酢が優しい味で、お酒にもとっても合います。
次に出てきたのは、秋田産「はたはたの丸干し」
ふわっとした身とお魚の凝縮された旨味がたまりません。
こちらは、「短角牛の炙りポン酢」岩手でのびのび育てられた赤身の王様、”短角牛”は産地直送で仕入れているもの。噛みしめるほどおいしく、ボリュームもたっぷり。
まみさんがサービスで出してくださった、岩手県産、「白金豚のチャーシュー」
見てくださいこれ!!もう言葉がでません。
こちらは白レバー焼き。噛まなくても、とろける!!
今までのレバーはなんだったんだ!と思ってしまうほどふわふわ。。
どの料理も日本酒との相性が抜群。幸せなひとときでした!
開店前にお時間をもらって、
郷酒の女将、鈴木まみさんにお話を伺いました!
まみさんは、岩手県花巻の石鳥谷(いしどりや)町出身。実家は一次産業に携わっています。
東京の大学に進学したまみさんは、就職活動をするか悩むが、全く自分がOLなどで働いているイメージを持てなかったそう。
自分のお店を持つことが夢だったまみさん。イタリアンや和食料理、沖縄料理など様々な飲食店で経験を積みます。
そんな中、出会った旦那さんと意気投合し、2人でお店を出すことにしたそう。
曾祖父が杜氏だったということもあり、日本酒に興味があったまみさん。
「最初は郷土料理のお店を作るとは思わなかったけれども、やっぱり、知らない国のものでなく、自分の食べて育ったもの、よく知っているものを振る舞いたい。」
そんな想いが強くなり、今のお店になったそう。今では、故郷の枠を超えて、日本全国の美味しい料理と厳選した珍しいお酒が楽しめるお店として親しまれています。
「私ひとりだったら、そこまでの勇気がなかったけれど、旦那さんがいたからできた」そんな風におっしゃっていました。
まみさんの実家のある石鳥谷町でも、一次産業の担い手不足が深刻だそう。
一次産業は、きつい、お金にならない。肉体ではなく、何か頭で稼げることをしたい。
そんな現代の風潮。地元でも一次産業を継ぐ若い人たちがほとんどいない現状を間近で感じていたまみさん。
地元にもどって就職することも考えていたけれども、今は東京にお店を出した。
実家から送られてくる、よく知っている食材を使って、自分のおばあちゃんから直接教わった郷土料理を東京で振舞っていて。
「基本的には、自分のやりたいことしか出来ないんだー」とおっしゃいながらも、 担い手不足の問題に対して、「たくさん食材を作ってしまったら、自分のところで使うから!」と伝え、 お店をやることで一次産業を支えるまみさん。とってもかっこいいなと感じました。
「自分は内気なんだ」とおっしゃいながらも、初対面の私たちに優しく接してくださるまみさんが、とっても幸せそうな顔をしているのが、印象的でした。
今回お話を伺った郷酒の女将、鈴木まみさん
店主の鈴木淳さん、まみさんと。
こだわりの食材を使った、丁寧で贅沢な逸品と、あったかい夫婦の素敵なお店、郷酒。
全メニューを制覇したいくらいどれも美味しく、時間を忘れてしまう不思議な空間でした!また行きます!!
ぜひ、みなさんも訪れてみてください!
【郷土料理と日本酒のお店 郷酒(ゴーシュ)】
営業時間:月~金 11:30~14:30(L.O.14:00)
17:00~23:00(L.O.22:00、ドリンクL.O.22:30)
定休日:土・日・祝日
住所:〒101-0051
東京都千代田区神田神保町3-5 ニュー徳栄ビルB1
(文章・たこ 写真・まさや)